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着床前スクリーニング(PGS:Preimplantation Genetic Screening)とは、胚の染色体数の異常を調べる検査です。近年の研究で体外受精を複数回行っても妊娠しない、高齢、不育症(習慣流産)や原因不明の不妊は胚の染色体数もしくは構造異常がスムーズな着床と発育を阻害することで引き起こされていることが示されました。そこで着床前診断で23対の染色体を調べ、染色体数の異常や部分的な欠失・重複などの構造異常を診断します。スクリーニングで異常が明らかになった胚を取り除くことで妊娠率を高めます。
着床前遺伝子診断(PGD:Preimplantation genetic diagnosis)は特定の患者の方を対象とした検査です。両親が遺伝性疾患を持っている場合に行われ、遺伝性疾患が胎児へ遺伝することを防ぎます。常染色体優性遺伝や常染色体劣性遺伝などの単一遺伝子疾患や、染色体異常、染色体転座などの疾患が対象となります。正常な染色体数で遺伝性疾患を有さない胚を選択し、移植します。
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タイムラプスインキュベーターは現代最先端の培養器です。培養器に内蔵されたカメラで胚を10分おきに自動撮影します。24時間一定間隔で撮影した写真を動画として記録および観察することができます。培養士が人工知能(AI)を用いて、異常分裂した胚を検出します。
従来の培養器では胚を一度培養器から取り出して、顕微鏡で状態を確認する必要がありました。しかし、取り出す際のリスクとして、培養環境の変化、またその瞬間の状態しか見ることができないため、胚の成長過程が正常か否かの判断ができませんでした。
タイムラプスインキュベーターを使用するメリット:
24時間のモニタリングによって妊娠の可能性が高い胚を選ぶことができる
人工知能(AI)を用いて着床率の高い胚を選定することで、移植後の妊娠率が上がる
胚が培養器外の環境に触れる時間が減るため、最良の培養環境を維持することができる
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子宮内膜着床能検査(ERA)では、子宮内膜の着床能を調べます。一人一人の「着床の窓」が開く時期を特定し、胚移植に最適なタイミングを判断します。また、反復性着床障害の方は、検査後の妊娠率が平均25%上昇します。
検査では次世代シークエンサー(NGS)を用いてRNAを解析し、関連する248個の遺伝子の発現レベルに基づいて、着床可能な時期を判断。検査結果は約15日程で出ます。また、理想的な移植の時期を判断し、早ければ次の生理周期に移植を行います。通常は三年に一度、検査を行います。
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卵細胞質内精子注入法(ICSI:Intracytoplasmic Sperm Injection)とは、顕微鏡下で卵子に1つの精子を注入して授精させる方法です。一般的に「顕微授精」と呼ばれます。一方、従来の方法は「体外受精」(In Vitro Fertilization, IVF)と呼ばれています。
ICSIが必要な方:
精子の運動率が低い
精子の数が少ない
高齢の方
卵子の数が少ない
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当院の設備について、多重のダストコントロール、揮発性有機化合物(VOC)対策等、当院では建材、温湿度管理、気圧の流れや速度などの項目で培養室の最高基準「Cairo Consensus on the IVF laboratory」に準拠した環境を採択しています。
最新技術 タイムラプスインキュベーターの導入(Time-Lapse Microscopy)
培養器K-system、レーザーによる孵化補助
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最新の監視システムMatcherによって培養室の内部をリアルタイムで監視します。
培養室の技術長が10年以上にわたり培った豊富な経験と培養・生検の確かな技術。そして、胚培養士(エンブリオロジスト)は、毎年国内外の専門会議に参加し、胚の培養と状態の良い胚を選択するための技術を磨いています。
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信頼の医療チームがお手伝い。